KojiLabo

麹ラボ

日本の伝統的発酵食品「米麹」が愛される理由とは?

味噌や醤油、みりんといった日本食に欠かせない調味料に共通して使われているものが何かご存じですか?答えは米麹です。

わたしたち日本人の食生活に欠かせない定番調味料づくりに必要不可欠な米麹。今回はその米麹のルーツや採ることでのメリットなどをお伝えします!

1.そもそも麹とは?

米麹を説明する前に、そもそも麹とは何かを解説します。

麹は、米・麦・大豆などの穀物にコウジカビなどの微生物を繁殖させたものを言います。これだけを聞くと「本当に食べていいの?」と思うかもしれませんが、このコウジカビは食べ物として非常に優秀。コウジカビは食品が発酵する際に、食物に含まれるたんぱく質やでんぷんを分解するのですが、その際にアミラーゼやプロテアーゼなど人の健康に良いとされる酵素を発生させるのです。

麹が持つ酵素の役割は健康志向が高まる日本人から改めて注目され、麹を用いた料理や調味料などが食品メーカーや酒蔵・酒造メーカーなどから展開されています。

2.魅力あふれる米麹のチカラ

米麹は麹の中でも蒸した米にコウジカビを付して生成した麹のことをいいます。

コウジカビによる発酵の過程でお米の奥深い味わいのある甘味に変貌するだけではなく、酵素の働きによって食材や調味料の栄養価を最大限に引き出してくれます。

米麹はわたしたちが普段食べる「うるち米」を使用して作ります。こだわりのある方やお料理好きな方は自家製麹を楽しんでおられます。発酵に時間を要す為、まるで生き物を育てるように米麹を可愛がる人もいるようです。

そんな米麹にはパラパラに乾燥した乾燥麹ととろみのある生麹があります。生麹は甘味が際立ち、お料理にもすぐ用いやすいというメリットがありますが、雑菌が繁殖しやすい為、保存や調理には気を付けなければなりません。

断続的にあらゆる料理に使いたい場合は乾燥麹を使用するのも良いでしょう。生麹も乾燥麹もスーパーや量販店、通販で簡単に手に入れることができます。

3.脈々と続く米麹の歴史

米麹の歴史は古く、奈良時代にまで遡ります。奈良時代というとその名の通り奈良の平城京に都があった時代です。西暦でいうと700年代ですから今から約1500年以上も前から米麹は日本人に馴染みがあるのです。

このことから、いかに日本人と相性の良い食品であるかが分かりますね。 

この、奈良時代の米麹については「播磨国風土記(はりまのくにふうどき)」という奈良時代の史書に記録があることが確認されています。具体的には、乾飯(かれいい)と呼ばれるご飯を干した携帯食が濡れ、発生したカビを用いて酒を造ったと記載されており、このお酒の製法はまさに現代でいう日本酒のそれと酷似していることが分かります。史書として記録されている最も古い米麹による発酵食品はこのお酒だとされているそうです。

室町時代には、この麹の元となるコウジカビのみを集めた種麹が販売され、より広範に渡って発酵食品の文化が浸透し、江戸時代には夏場の疲労回復や滋養強壮に効果的として、米麹を使った飲料の代表格である「甘酒」が大衆的な人気を得ることになります。

2006年には日本醸造学会が麹菌を「国菌」と認定するなど、米麹を含めた現在の麹人気の礎を築くことになるのです。奈良時代から令和にまで受け継がれる米麹の歴史。先人の知恵や工夫を感じながら米麹を楽しむのも小粋ではないでしょうか。

4.同じ読みでも意味が異なる?麹と糀の違いは?

麹の購入を試みたり、麹の特徴を調べていると「麹」の他に「糀」という漢字を目にします。漢字によって意味合いが異なるのでしょうか。

結論から言うと「麹」も「糀」も同じ、「こうじ」を意味します。

まず「麹」という漢字について説明します。「麹」という字は中国から伝来した中国漢字です。平安時代の漢和辞典にも記載があり、「カビダチ」から音が変化し「コウジ」と読む様になったという説が有力とされています。

 次に「糀」という漢字について説明します。「糀」は日本で作られたいわゆる和製漢字です。米麹を作る際、蒸した米にコウジカビを付して発酵を促すのですが、その過程で米が膨らみ花が咲いたように見える様から米に花で「糀」という字が生まれました。

「麹」と「糀」。大局的に見れば同じ意味合いですが、「麹」は米麹をふくめたより広域な意味合い、「糀」はその字の由来の通り米麹に限定した意味合いが強いように感じます。

※引用:Googleショッピング検索結果より

5.幅広く活躍する米麹

日本人の健康志向の高まりによって、あらゆる分野で次々と新たな健康食品が世の中にリリースされています。発酵食品もまた代表的な健康食品のひとつです。

発酵食品は元々、冷蔵庫がない時代の保存食として用いられたり、食材を柔らかくすることに使われていました。健康食品という位置づけではなかったようです。

しかし、発酵食品は高い保存効果のみならず、発酵過程で発生する酵素の働きによって健康な体作りにも大いに寄与するのです。 

米麹は食材の発酵をおいしく促してくれる立役者です。醤油に米麹を付けて醤油麹にするも良し、米麹を水で甘酒を作るも良し、米麹を用いた発酵食品づくりは一般家庭にも広く浸透しているのです。 

麹調味料については、別記事「知らないと損!?旨さ引き出す万能調味料「麹」の魅力」もチェックしてください。

6.塩麹ブームの火付け役は米麹だった!?

塩麴ブームをご存じでしょうか。塩麴ブームとは2011年頃に巻き起こった「塩麴」という新しく、美味しい、そして健康に良いという三拍子揃った調味料の登場による流行です。

鶏肉を塩麴で漬け込み、下ごしらえした唐揚げや、キュウリに塩麴を和えて漬物風に早変わりさせる時短レシピなど、今までの調味料では引き出せなかった奥深い味わいはもちろんのこと、酵素の力による栄養面でのメリットも大きいことから人気に火をつけ塩麴によるアレンジレシピは一世を風靡しました。

この塩麴ブームですが、実は火付け役を担ったのは米麹なのです。というのも、塩麹を作るには米麹が必要だからです。

塩麹ブームを巻き起こしたのは、江戸時代から続く老舗「糀屋本店」の9代目浅利妙峰さん。日本の台所に米麹を復活させたい想いで、江戸時代の書物に記されていた「塩と米麹で野菜を漬けこむ」という内容を参考に塩麹を考案したことがブームの発端となったそうです。

今でこそ「塩麴」という調味料は定着し認知されるようになりましたが、そもそも塩麹は米麹を塩で味付けしたものだったのです。

7.米麹を食べるメリットと注意点

体に良く美味しいとされる米麹。では米麹を食べる具体的なメリットは何でしょうか。また、米麹を採る際の注意点についてもまとめてみましたので、是非あなたの米麹ライフの参考にしてみてください。

米麹を食べるメリット①疲労回復

米麹を含む麹類にはブドウ糖や必須アミノ酸、ブドウ糖といった栄養素が多く含まれています。食欲が落ちがちな夏場には米麹でつくる甘酒での栄養補給が有効ともされており、砂糖とは異なる自然由来の甘い味わいから老若男女問わず愛されています。

米麹を食べるメリット②腸内環境の改善

発酵食品は腸内環境を整える働きがあります。麹に含まれる乳酸菌の働きや発酵過程で発生する多くの酵素の働きにより、腸の活動を活性化させ消化を促進し、食物からより効果的に栄養素を体内に取り込み健康な体づくりに寄与します。

米麹を食べる際の注意点①食べすぎると肥満を招く

米麹の原料は言うまでもなくお米です。お米にはデンプンやブドウ糖などといった糖類が多く含まれます。効果的にエネルギーをチャージできる一方、採り過ぎてしまうと急な血糖値の上昇により太りやすい体質になり、肥満症を招く恐れがあります。

採りすぎにはくれぐれも注意しましょう。

米麹を食べる際の注意点②雑菌の繁殖に気を付ける

米麹には生麹と乾燥麹がありますが、生麹を使用する際・自宅で生麹を作る際には気を付けなければいけません。米麹は米にカビ付着させ菌を繁殖させてつくるわけですが、同時に雑菌の繁殖にも配慮しなければなりません。器は熱湯消毒する、生麹はできる限り早めに食べきるなど、常に清潔に扱うようこころがけましょう。

8.パウダー状の米麹で使いやすいKojiko

ここまで、米麹の魅力や歴史、扱う上でのメリットや注意点についてまとめてきました。

「麹に興味はあるけど扱うのが難しそうだな」とおもうあなたにオススメは、パウダー状の麹です。Kojikoでは日本酒「蓬莱泉」で有名な関谷醸造の米麹を独自の製法でパウダー化することに成功しました。

パウダー化することでどんな場面でも使いやすく、かつ麹の効能は最大限に活かしながら普段の生活に取り入れることができます。

最後までお読み頂きありがとうございました。