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酒蔵の職人は納豆禁止?酒蔵見学前に知りたい注意点

酒蔵で働く人々が「納豆を食べない」という噂を耳にしたことはありませんか?納豆は日本を代表する発酵食品でありながら、酒蔵では厳禁とされています。その理由は、納豆が酒造りに深刻な影響を及ぼす可能性があるためです。

本記事では、酒蔵における納豆禁止の理由を詳しく解説し、その真相を探ります。また、納豆が禁止される日数や家族も食べてはいけないのかなど、気になる疑問についても解説していきます。

酒蔵見学を計画している方は、知っておきたい豆知識となるでしょう。

酒蔵で納豆が禁止される理由

酒蔵には「納豆禁止」というルールが存在することをご存知でしょうか?酒造りと納豆には、一見関係がないように思われるかもしれませんが、実はこのルールは酒造りで非常に重要な役割を果たしています。

ここでは、なぜ酒蔵で納豆が食べられないのか、その理由と背景について詳しく解説します。

酒造りにおける繊細な発酵プロセス

酒造りは発酵の管理が非常に繊細な工程です。発酵の過程では、特定の微生物の働きをコントロールしながら、麹や酵母によってアルコールが生成されます。

この工程が乱れると、酒の品質に大きな影響が出るため、異なる菌の混入を極力避けることが必要です。例えば、空気中の細菌や酵母が酒造りの現場に入るだけで、全体の発酵プロセスが失敗することもあります。

酒造りにおいて最も重要とされる麹の品質を落とせば、酒の品質に関わってしまいます。

そのため、酒蔵では他の微生物から影響を受けないように、入念な清掃と除菌、湿度や温度管理などが徹底的に行われ、厳重に管理されています。

納豆菌の強い繁殖力と生命力

納豆菌は繁殖力が強く、酒蔵で使用される麹菌や酵母菌に対して悪影響を及ぼします。納豆を食べた後、体内や衣服、髪の毛に残った納豆菌が酒蔵に持ち込まれると、酒造りに不可欠な微生物の働きを妨げ、全工程を台無しにしてしまうリスクがあります。

納豆菌が好む環境は麹菌が育つ環境に非常に似ており、さらに繁殖力が強いため、麹菌を差し置いて納豆菌が先に繁殖してしまうのです。

また、納豆菌は生命力の高い菌としても知られています。胃酸にも負けず、乾燥や高温の環境下でも、熱湯をかけても石鹸で洗っても完全に殺菌することは難しいといわれています。このため、熱湯消毒を基本とする酒蔵において、一度でも納豆菌が侵入すると、菌を除去するのに多大な労力と時間が必要になってしまうのです。

このような理由から、酒蔵では「納豆禁止」という厳しいルールが設けられているのです。

納豆菌を酒蔵に持ち込んでしまうと

もし納豆菌が酒蔵に侵入すると、麹の発酵が正常に進まず、最終的な酒の品質に深刻な問題が発生する可能性があります。

麹を発酵させる工程で納豆菌が混入してしまうと、繁殖力の強い納豆菌は麹菌よりも先に繁殖します。その結果、成長の場を奪われた麹菌は十分に繁殖できず、品質のいい米麹は作られることなく納豆のようなヌルヌルとした麹ができてしまうのです。

麹の発酵が正常に行われなければ、風味が損なわれたり、雑味が出たり、場合によっては商品として販売できない状態になることもあります。

職業ごとのなるほど納豆ルール

酒蔵で働く人々にとって、麹造りの期間に納豆を食べないことは業務の一環として非常に重要なルールです。

ここでは、職業ごとに異なる納豆に関するルールを解説します。

酒蔵で働く人が納豆を食べてはいけない期間

酒蔵で働く人々は、特に麹造りの時期に納豆を摂取しないことが厳守されています。一般的には、酒造りの作業が始まる10月の下旬ごろから3月の中旬ごろまで納豆の摂取を控えることが慣習となっている酒蔵が多いようです。

ただし、近年では酒蔵で働く人が納豆を食べたとしても問題は起きにくいと考えられています。理由は以下の通りです。

  • 以前の納豆作りでは、強力な野生納豆菌を使用していたため、繁殖力が非常に強かった。
  • 現在流通している納豆は、培養された納豆菌を使っており、野生のものよりも繁殖力が弱い。
  • 酒蔵の施設が進化し、より衛生的な環境が保ちやすくなった

このような理由から納豆菌の影響に関するリスクは減少しましたが、酒蔵で働く人々にとっては慣習として普段から納豆を控えている方のほうが多いようです。

酒蔵で働く人の家族も納豆を避けている

納豆菌は家庭内でも広がる可能性があるため、酒蔵で働く人の家族も一定の期間、納豆の摂取を控えるようにしている家庭もあります。家族が納豆を食べた場合、その人との接触や共有空間での行動が、酒造りに悪影響を及ぼすリスクがあるためです。

麹造りの時期になると、食卓から納豆を取り除くことで、家族全員でより良い品質の酒造りに協力している家庭も多いようです。

他にもある納豆禁止の職業

納豆禁止のルールは、酒造業界だけでなく他の職業にも存在します。

例えば、味噌や醤油などの発酵食品を作る工場でも納豆禁止が徹底されている会社があります。パン屋や食品を扱う会社はもちろん、生物や科学の研究室でも納豆菌の影響を避けるための厳しい管理が行われています。

酒蔵見学前に知っておきたい注意点

酒蔵見学を計画している方にとって、納豆に関する知識も重要です。見学者が納豆菌を酒蔵に持ち込むと、麹を発酵させるプロセスに悪影響を及ぼす可能性があります。

納豆菌の知識も含めて、見学前にはいくつかの注意点を把握しておくことが大切です。

見学者も納豆を食べない方が良い

酒蔵見学を予定している方には、訪問前には納豆の摂取を控えることが推奨されています。麹室の中へ入ったり見学できる酒蔵は少ないかもしれませんが、見学者が工房や酒蔵の作業場に入る際には、事前に納豆を食べないようにするのがマナーとして望ましいでしょう。

また、酒蔵によっては見学前に「何日前から納豆を食べないでください」と指示が出されることもあります。

酒蔵見学で納豆以外に気をつけるべき食べ物

納豆だけでなく、その他の発酵食品も見学前に避けることが求められる場合があります。

例えば、チーズやヨーグルトなどの発酵食品も、微生物の影響を与える可能性があるため、酒蔵によってはその摂取を控えるように指示されることがあります。

また、香水や強い匂いのする製品も、酒の香りを損なったり、周囲の参加者に悪影響を及ぼす可能性があるため控えたほうが賢明です。

まとめ

酒蔵で納豆が禁じられているのは、納豆菌が酒造りにおける繊細な発酵プロセスに悪影響を与えるからです。納豆菌は強力で、麹菌や酵母に対して競合する性質を持つため、酒造りにとって大敵です。

また、酒蔵で働く人々やその家族だけでなく、見学者も納豆の摂取を控えることが推奨されています。麹が発酵する過程を保つためには、繊細な環境管理が非常に重要です。

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