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麹ラボ

麹が畜産にもたらす効果とは?消化吸収・肉質・健康の3つのポイントをわかりやすく解説

近年、発酵技術の見直しとともに、畜産の現場でも「麹」に注目が集まっています。

これまで食品や調味料の世界で活躍してきた麹ですが、家畜の飼育に取り入れることでさまざまなメリットが期待できることから、導入を検討する農家も増えています。当社でも協力農家さんに協力いただき、麹を使った飼育の実験を進めているところです。

本記事では、一般的に知られている“麹が畜産にもたらすとされる効果”を中心にまとめています。

麹を使った畜産の主な効果

① 消化吸収の改善

麹には、デンプン・タンパク質・脂肪などを分解する複数の酵素が含まれています。この酵素の働きにより、家畜が飼料から栄養を取り込みやすくなると考えられており、飼料の利用効率向上に寄与する可能性が指摘されています。

特に、食欲が落ちやすい季節や発育段階において、栄養を無駄なく吸収できる点は大きなメリットです。

現在、当社が協力農家さんと行っている実験でも、まずは消化・吸収面の変化を重視してデータ収集を進めています。

② 肉質改善(柔らかさ・旨味アップ)

食品加工の世界では、麹の酵素によって肉が柔らかくなり、旨味が増すことはよく知られています。

この原理を畜産にも応用することで、

  • 肉の繊維がほぐれやすくなる
  • アミノ酸量が増え、旨味成分が強まる

といった変化が期待されると言われています。

畜産分野では、麹を飼料に活用することで肉質向上を目指す取り組みが徐々に広がっており、当社としても協力農家さんとともに、この点を重点項目として検証を行っているところです。

③ 家畜の健康維持(免疫サポート、ストレス低減など)

麹には、発酵過程で生成されるビタミン類・ミネラル・有機酸など、健康維持に役立つ成分が含まれています。これらが腸内環境に良い影響を与える可能性があり、結果として免疫サポートや体調安定に寄与するという意見もあります。

また、家畜は環境変化や気温差によって体調を崩しやすいため、腸内環境の改善や栄養吸収の効率化はストレス対策としても注目されています。

当社としてはこの健康面での変化も重要視し、現在の協力農家さんとの実験でも、体調面のデータ収集を継続しています。

麹を使う際の注意点・誤解しやすいポイント

麹は魅力的な素材ですが、活用するにはいくつか気を付けたい点もあります。

与えすぎのリスクはある?

通常の飼料と同様、与えれば与えるほど良いというものではありません。消化環境とのバランスや、家畜の状態に応じた適切な量の調整が必要です。目的や飼育環境に合わせて徐々に慣らし、反応を見ながら与える方法が一般的とされています。

麹なら何でも良いわけではない

麹には、米麹・麦麹・豆麹など原料の違いだけでなく、麹菌の種類、発酵条件、含まれる酵素のバランスなど、多くの要素があります。そのため、ただ「麹であれば効果が出る」というわけではなく、飼料向けに適した品質の麹を選ぶことが重要です。

保存方法・品質チェックの重要性

麹は生きた菌や酵素を含む素材のため、湿気・温度変化・酸化などの影響を受けやすい特徴があります。保存状態が悪いと品質が大きく低下し、期待した働きが得られないこともあるため、保存環境・賞味期限・におい・色の変化などをこまめに確認することが欠かせません。

麹を取り入れた畜産の未来と可能性

麹を使った畜産はまだ発展途上ですが、さまざまな可能性が期待されています。

持続可能な畜産(SDGs)

麹は自然由来の発酵素材であり、化学的な添加物に頼らずに飼育改善を目指せる点で、環境負荷の低減に寄与する可能性があります。持続可能な生産を求める流れの中で、麹の活用はSDGsの考え方とも相性が良い分野です。

国産資源の活用

麹は日本の発酵文化が育んできた素材であり、国産の穀物を原料に製造されます。輸入飼料への依存度が高い畜産業において、国内資源を活かせる点は大きなメリットです。

地域循環型モデルへの貢献

麹づくりに使う米や麦、また発酵過程で生まれる副産物など、地域の農作物や資源と連携しやすいのも特徴です。「地域の農作物 → 麹 → 畜産 → 肥料 → 農地へ還元」といった循環モデルを構築できる可能性も見え始めています。

まとめ|麹は畜産における可能性を広げる有望な素材

麹は、古くから日本の食文化を支えてきた発酵素材ですが、その力は畜産分野でも応用できる可能性があります。

今回ご紹介したように、

  • 消化吸収の改善
  • 肉質改善
  • 健康維持のサポート

といった観点から、麹は畜産における新たな選択肢として期待されています。

当社では現在、協力農家さんとともに実験を行い、実際の飼育現場でどのような変化が見られるのか、慎重にデータを集めている段階です。今後、より具体的な結果が得られ次第、改めて詳しくお伝えしていく予定です。

麹を使った畜産は、まだ発展途上の分野ですが、持続可能で質の高い生産を目指すうえで、非常に魅力的な選択肢になりつつあります。